基本情報
「大本営が震えた日」
著者:吉村 昭 出版社:新潮社
定価(税込):430円(1968年) 初版発行:1968年1月
JP番号:68011495 ASIN:B000JA44S0
「大本営が震えた日」
著者:吉村 昭 出版社:新潮社 新潮文庫
定価(税込):440円(1996年) 初版発行:1981年1月25日
日本図書コード ISBN-10:410111711X ISBN-13:9784101117119
書籍概要
大東亜戦争開戦前夜の様々な事件や出来事に関して書かれた本である。
昭和16年、日米関係は極度に緊張していたが、日本はアメリカとの戦争を回避すべく、日米会談による外交努力を続けていた。しかし11月26日、アメリカのコーデル・ハル国務長官から突きつけられた提案、所謂「ハル・ノート」は、日本が到底のむことが出来ない過酷な内容であった。結果、日米会談は事実上決裂、日本は自存自衛の為に対米開戦を決意した。
開戦は12月8日と決まり、太平洋方面に於いてはハワイ諸島オアフ島真珠湾の米太平洋艦隊への空襲、南方方面に於いては英領マレー半島への上陸によて戦端が開かれる事になった。特にこれらの攻撃は奇襲を前提としており、開戦直前までの行動秘匿と重要な問題であった。
本書は、昭和16年12月8月の大東亜戦争の直前の各方面の状況を詳細に描いている。
特に、開戦直前の機密保持に関する日本軍の必死の努力と、それを脅かしたいくつかの出来事や事件に関して紹介されている。
本書で紹介されているエピソードは以下の通りである。
・昭和16年12月1日に発生した旅客機「上海号」の遭難
・陸軍北多摩通信所による通信諜報活動
・日本郵船客船「竜田丸」による諜報活動と偽装工作
・マレー攻略部隊輸送船団の行動秘匿
・タイに対する工作と進駐交渉
・ハワイ攻撃集団の行動秘匿
日本陸海軍の各部隊は、12月8日に一斉に開始される作戦計画に基づいて行動していた。その行動は秘匿される必要があり、その為に様々な措置がとられた。これらのエピソードは開戦直前の緊迫した様子を克明に描き出している。
本書は、あまり戦史の表に出てこない、行動秘匿や機密保持という観点から、大東亜戦争開戦直前の様子を知ることが出来る興味深い一冊である。
目次 (新潮文庫)
上海号に乗っていたもの・・・・・・・・・・・・・・・・・7P
開戦司令書は敵地に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23P
杉坂少佐の生死・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40P
墜落機の中の生存者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54P
意外な友軍の行動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72P
敵地をさまよう二人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89P
斬首された杉坂少佐・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105P
イギリス司令部電文の衝撃・・・・・・・・・・・・・121P
郵船「竜田丸」の非常航海・・・・・・・・・・・・・・136P
南方派遣作戦の前夜・・・・・・・・・・・・・・・・・・158P
開戦前の隠密船団・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・174P
宣戦布告前日の攻撃開始・・・・・・・・・・・・・・190P
タイ進駐の賭け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・208P
ピブン首相の失踪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・225P
失敗した辻参謀の謀略 ・・・・・・・・・・・・・・・・242P
北辺の隠密艦隊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・260P
真珠湾情報蒐集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・279P
「新高山登レ一二〇八」・・・・・・・・・・・・・・・・297P
これは演習ではない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・313P
あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・329P
解説 泉三太郎
関連書籍
本書に関連する戦史
「真珠湾攻撃」
「奇襲ハワイ作戦」
「真珠湾攻撃・全記録 日本海軍・勝利の限界点」
「大捷マレー沖海戦」
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